東京・九段に鎮座する靖国神社(やすくにじんじゃ)。幕末の志士から先の大戦に至るまで、国家のために尊い命を捧げられた方々の御霊(みたま)をお祀りしている神社です。
境内は桜の名所としても知られ、東京の桜(ソメイヨシノ)の開花を告げる「標本木」があることでも有名です。また、貴重な史料を展示する「遊就館(ゆうしゅうかん)」が併設されており、歴史を深く学ぶこともできます。
この記事は、靖国神社の公式サイトおよび関連情報を基に、靖国神社の歴史やご利益、境内の見どころ、参拝情報を網羅的に解説するものです。アクセス方法や御朱印、周辺の観光スポットも紹介しますので、参拝の計画にお役立てください。
靖国神社とは?まず知りたい基本情報
| 【項目】 | 【神社情報】 |
| 正式名称 | 靖國神社 |
| 所在地 | 〒102-8246 東京都千代田区九段北3-1-1 |
| 御祭神 | 246万6千余柱の英霊(幕末の志士から先の大戦までの戦歿者) |
| 主なご利益 | 国家安泰、祖国平和、家内安全 |
| 創建 | 明治2年(1869年) ※当時は「東京招魂社(とうきょうしょうこんしゃ)」 |
| 参拝時間(開門・閉門) | 【3月〜10月】午前6時〜午後6時 【11月〜2月】午前6時〜午後5時 |
| 授与所時間(お札・お守り・御朱印) | 【3月〜10月】午前9時〜午後6時 【11月〜2月】午前9時〜午後5時 |
| 公式サイト | https://www.yasukuni.or.jp/ |
靖国神社の御祭神とご利益
御祭神:246万6千余柱の英霊
靖国神社には、特定の「神様」が祀られているわけではありません。 御祭神は、幕末の嘉永6年(1853年)以降、明治維新、戊辰戦争、西南戦争、日清・日露戦争、第一次・第二次世界大戦など、国内外の事変や戦争において、国家国民を守るために尊い命を捧げられた246万6千余柱の御霊(みたま)です。
身分や性別、勲功に関わらず、祖国のために殉じられたすべての方々が「英霊」として平等に祀られています。
主なご利益
靖国神社は、一般的な神社で祈願される「商売繁盛」や「縁結び」といった現世利益とは少し異なります。 御祭神である英霊への感謝の心や、平和への祈りを捧げる場所であり、そのご利益は「国家安泰」や「祖国平和」とされています。また、国や家族の平和を願うことから「家内安全」のご利益もあるとされています。
靖国神社の歴史と由緒
靖国神社の始まりは、明治2年(1869年)、明治天皇の思し召しによって建てられた「東京招魂社(とうきょうしょうこんしゃ)」です。戊辰戦争で朝廷(新政府)側で戦い、亡くなった方々の霊を祀るために創建されました。
その後、明治12年(1879年)に「靖國神社」と改称され、別格官幣社に列せられました。 創建当初の目的は、国の為に命を捧げた方々の御霊を慰め、その事績を永く後世に伝えることでした。現在もその役割は変わらず、日本全国、そして世界各国から多くの人々が参拝に訪れます。
靖国神社の境内の見どころ
広大な境内には、歴史的な建造物や自然など、多くの見どころがあります。
大鳥居(第一鳥居)
靖国通りに面してそびえ立つ、靖国神社のシンボルです。現在の鳥居は昭和49年(1974年)に再建されたもので、鋼管製としては日本有数の高さを誇り、その高さは約25メートルにも及びます。
拝殿(はいでん)
参拝者がお参りをする中心的な場所です。明治34年(1901年)に建てられた純日本風の入母屋造銅板葺の建物で、厳かな雰囲気に包まれています。参拝作法は、他の多くの神社と同様に「二拝二拍手一拝」です。
遊就館(ゆうしゅうかん)
境内にある歴史博物館で、靖国神社に祀られている御祭神の遺書や遺品をはじめ、日本の近代史に関わる貴重な史資料が収蔵・展示されています。 1階のエントランスホールには、復元された「零式艦上戦闘機(零戦)」が展示されており、このエリアは無料で見学が可能です。(展示室の拝観は有料)
神池庭園(しんちていえん)
本殿の奥、北側に位置する美しい回遊式庭園です。明治の初期に造られ、滝や池が配された風光明媚な庭園は、都心にあるとは思えないほどの静けさと自然を感じさせてくれます。
東京の桜(ソメイヨシノ)の標本木
靖国神社は都内有数の桜の名所として知られています。境内には約500本の桜があり、春には多くの花見客で賑わいます。 特に有名なのが、気象庁が東京の桜(ソメイヨシノ)の開花日を決定するために観測する「標本木」です。この木に5〜6輪の花が咲くと、東京の桜の「開花宣言」が出されます。
靖国神社の摂社・末社
靖国神社の境内には、本殿のほかにも重要な社があります。
鎮霊社(ちんれいしゃ)
本殿の南側にひっそりと鎮座するお社です。靖国神社のご祭神となっていない、国内外のすべての戦争・事変で亡くなられた方々の御霊を慰めるために、昭和40年(1965年)に創建されました。
元宮(もとみや)
鎮霊社の隣にある小さなお社で、京都の霊山(りょうぜん)にある「霊山招魂社(現・京都霊山護国神社)」の御霊を一時的にお祀りしていた社です。靖国神社の前身である東京招魂社が創建される際、この元宮にまず御霊が鎮められました。
靖国神社の御朱印とお守り
御朱印の種類と受付時間
靖国神社の御朱印は、拝殿の右手にある「朱印所(授与所)」でいただけます。
- 御朱印: 「靖國神社」と墨書きされ、社紋である桜と菊の印が押された御朱印です。
- 初穂料: 500円(目安)
- 受付時間:
- 【3月〜10月】午前9時〜午後6時
- 【11月〜2月】午前9時〜午後5時
※このほか、桜の季節などには限定の「刺繍御朱印」(書置きのみ、初穂料1,000円)が頒布されることもあります。
おすすめのお守り
授与所では、様々なお守りを受けることができます。
- 御守(身体健全守): 桜と菊の紋様が刺繍された、靖国神社を代表するお守りです。
- ねがいかなう守: 桃色の「願」と水色の「叶」が一対になった、祈願成就のお守りです。
- 厄除守: 厄年の方だけでなく、日々の厄除けを願うためのお守りです。
- その他: 交通安全守、安産守、子供守、学業成就守など、各種お守りが揃っています。
靖国神社へのアクセス・駐車場情報
電車でのアクセス
最寄り駅が多く、非常にアクセスの良い場所にあります。
- 地下鉄(東京メトロ・都営地下鉄)
- 東西線/半蔵門線/都営新宿線「九段下駅」(出口1)より徒歩約5分
- JR(中央・総武線)
- 「市ケ谷駅」より徒歩約10分
- 「飯田橋駅」(西口)より徒歩約10分
車でのアクセス・駐車場
参拝者専用の駐車場が用意されています。靖国通り沿いの「大鳥居(第一鳥居)」とは反対側、南門(なんもん)の近くに入口があります。
- 名称: 靖国神社 参拝者駐車場
- 収容台数: 乗用車 約70台
- 利用時間: 午前8時〜午後10時
- 駐車料金: 30分毎 300円
- 割引: 昇殿参拝(ご祈祷)をされた方は駐車料金が無料になります。
Googleマップ
[東京都千代田区九段北3-1-1]靖国神社とあわせて巡りたい周辺スポット
靖国神社参拝の後は、周辺の観光スポットやグルメを楽しむのもおすすめです。
おすすめランチ・カフェ
靖国神社の周辺(九段下、飯田橋、市ケ谷)には飲食店が豊富です。 飯田橋駅方面へ少し歩けば、レストランやカフェが集まる「飯田橋サクラテラス」があります。また、風情ある街並みが人気の「神楽坂」エリアも徒歩圏内で、おしゃれなカフェや和食のランチが楽しめます。
立ち寄り観光スポット
- 千鳥ヶ淵緑道(ちどりがふちりょくどう): 靖国神社から歩いてすぐの皇居のお濠沿いにある遊歩道。日本有数の桜の名所で、春には「千代田のさくらまつり」が開催され、ボートからのお花見も人気です。
- 北の丸公園: 靖国神社の向かい側、旧江戸城の北の丸があった場所です。広大な敷地内には「日本武道館」や「科学技術館」があります。
まとめ:靖国神社で国家安泰と平和への感謝のご神徳をいただこう
東京・九段の靖国神社は、日本の平和のために命を捧げた英霊に感謝と祈りを捧げる、特別な場所です。 都心にありながらも静かで広大な境内には、歴史を学べる「遊就館」や美しい「神池庭園」、桜の「標本木」など、多くの見どころがあります。 アクセスも非常に便利ですので、ぜひ一度足を運び、国の安泰と平和を願うひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
靖国神社に関するよくある質問(FAQ)
(Q) ご祈祷(昇殿参拝)は予約が必要ですか? (A) 個人やご家族など、少人数での昇殿参拝は予約不要です。当日に拝殿右側の受付でお申し込みください。ただし、祭典や行事などでご案内できない時間帯もあるため、ご心配な方は事前にお電話(03-3261-8326)で確認することをおすすめします。なお、団体での参拝は事前の申し込みが必要です。
(Q) ペットと一緒にお参りできますか? (A) 公式サイトの「ご参拝時のお願い」に基づき、内苑(ないえん:本殿や拝殿のある主要エリア)への犬等の動物を連れての参拝(散歩含む)はご遠慮いただいています。
(Q) 駐車場はありますか? (A) はい、参拝者専用の駐車場(乗用車70台)があります。利用時間は午前8時から午後10時まで、料金は30分300円です。昇殿参拝をされた方は無料となります。