
神社やお寺にお参りする際、最初立ち寄る場所が「手水舎」です。 「見よう見まねでやっているけれど、自信がない」「柄杓(ひしゃく)がないときはどうすればいいの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、手水舎の正しい読み方や意味、基本の作法、そして近年話題の花手水について、初心者の方にも分かりやすく解説します。
1. 手水舎とは? 読み方と意味
読み方は「てみずや」?「ちょうずや」?

結論から言うと、どちらも正解です。
- 手水舎(てみずや / ちょうずや)
- 水盤舎(すいばんしゃ)
- 御水屋(おみずや)
一般的には「ちょうずや」と呼ばれることが多いですが、神社によって呼び方が異なる場合があります。
手水舎の役割と意味
手水舎は、神様の聖域である本殿に進む前に、心身の穢れ(けがれ)を洗い清める場所です。 これは、神道における「禊(みそぎ)」という儀式を簡略化したものです。本来は海や川で全身を清めますが、現在は手水舎で手と口を漱ぐ(すすぐ)ことで、その代わりとしています。
ポイント 手水舎での行為は単なる「手洗い」ではなく、心を整える「儀式」の一部です。
2. 【図解】手水舎の正しい作法・手順
ここでは、柄杓(ひしゃく)がある一般的な手水舎の作法を解説します。基本は「左手→右手→口→左手→柄杓」の順です。

- 一礼する 手水舎の前に立ったら、軽く一礼します。
- 左手を清める 右手で柄杓を持って水を汲み、左手に水をかけて清めます。 ※この時汲んだ水(一杯分)で、最後まで行います。途中で水を汲み足さないのがマナーです。
- 右手を清める 柄杓を左手に持ち替え、右手に水をかけて清めます。
- 口を清める 再び柄杓を右手に持ち替え、左の手のひらに水を受け、その水で口を漱ぎ(すすぎ)ます。 ※柄杓に直接口をつけてはいけません。
- 左手を再度清める 口をつけた左手を、残った水で清めます。
- 柄杓を清める 最後に、柄杓を立てて残った水を柄(持ち手)に流し、元の位置に伏せて戻します。
- 一礼する 最後に軽く一礼して終わります。
柄杓(ひしゃく)がない場合の作法
感染症対策などの理由で、柄杓が撤去され、竹筒や蛇口から直接水が流れている手水舎(流水式)が増えています。

- 両手で水を受け、両手を洗う。
- 両手で水を受け、口を漱ぐ。
- 再度、両手を洗う。
- ハンカチ等で手を拭く。
3. よくある疑問とマナー(Q&A)
Q. 水は飲んでもいいですか?
A. 原則として飲みません。 手水舎の水は清めのためのものであり、飲料水として管理されていない場合が多いです。「御神水」として飲用が許可されている場所を除き、口を漱ぐだけに留めましょう。
Q. ハンカチはいつ出すべき?
A. 事前に取り出しやすい場所へ。 濡れた手でバッグを探るのはマナーとして美しくありません。手水舎へ向かう前に、ポケットやバッグの取り出しやすい場所に用意しておきましょう。
Q. 龍の口から水が出ているのはなぜ?

A. 龍は「水の神様」だからです。 龍神は水を司る神聖な生き物とされており、邪気を払う力があると考えられているため、多くの手水舎で龍のモチーフが使われています。
4. 新しい楽しみ方「花手水(はなちょうず)」
近年、手水鉢(ちょうずばち)に色とりどりの花を浮かべる「花手水」が人気を集めています。


- 発祥: 元々は京都の柳谷観音 立願山楊谷寺が始めたとされ、コロナ禍で手水の使用を控える際、参拝者の心を癒やすために全国へ広がりました。
- 魅力: 四季折々の花(紫陽花、菊、ダリアなど)が水面に浮かぶ様子は非常に美しく、フォトジェニックなスポットとして注目されています。
まとめ:手水舎の正しい作法と意味
手水舎は、神様にご挨拶する前の大切な「心の準備」の場所です。

- 意味: 禊(みそぎ)の簡略化。心身を清める場所。
- 基本: 「左→右→口→左→柄」の順。一杯の水で行う。
- 最新: 柄杓がない場合は流水で。花手水も楽しもう。
作法を完璧に覚えることも大切ですが、最も重要なのは「清らかな気持ちで神様に向き合うこと」です。次回の参拝では、ぜひこの手順を意識して、清々しい気持ちでお参りください。