
神社の入り口に必ずと言っていいほど建てられている「鳥居(とりい)」。 私たちは当たり前のように目にしていますが、「なぜ鳥居があるのか」「なぜ赤い鳥居が多いのか」「正しいくぐり方があるのか」と聞かれると、意外と知らないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、神社のシンボルである鳥居の持つ意味、正しいくぐり方のマナー、そして代表的な種類や数え方まで、分かりやすく解説します。
1. 鳥居とは? その意味と役割
鳥居の意味

鳥居は、神様が鎮座する「聖域(神域)」と、私たち人間が暮らす「俗世」とを区別する結界であり、神域への「門」です。
鳥居をくぐることは、「神様の領域にお邪魔します」という意思表示になります。そのため、鳥居をくぐる際には特別な作法が求められるのです。
2. 鳥居の正しいくぐり方・マナー
鳥居は神社の「玄関」です。他人の家を訪ねる時と同じように、礼儀を尽くすことが大切です。

【手順1】鳥居の前で「一礼」
- 鳥居をくぐる前に、まず立ち止まります。
- 服装の乱れなどを軽く整え、神様への敬意を込めて軽くお辞儀(一礼)してからくぐります。
【手順2】真ん中を避けてくぐる
- 鳥居の真ん中から参道の中央にかけてのラインを「正中(せいちゅう)」と呼びます。
- この正中は、神様が通る道とされています。
- そのため、参拝者は真ん中を避け、少し左右に寄って(左側通行、または右側通行)くぐるのがマナーとされています。
【手順3】境内から出る時も「一礼」
- 参拝を終えて境内から出る際も、鳥居をくぐり終えたら社殿(神様)の方へ向き直り、最後に一礼します。
- これは「お邪魔しました」という感謝の挨拶にあたります。
3. よくある疑問(Q&A)
鳥居に関する素朴な疑問にお答えします。
Q. 鳥居の数え方は?

A. 「一基(いっき)、二基(にき)」と数えます。 柱が2本で1セットとなるため、「基(き)」という単位が使われます。京都の伏見稲荷大社のように、たくさんの鳥居が連なる場合は「千本鳥居」と呼ばれます。
Q. なぜ鳥居は「赤い(朱色)」のですか?

A. 赤(朱色)には「魔除け」と「生命力」の意味があるからです。 古来、赤色は火や太陽の色とされ、災厄を防ぐ「魔除け」の力があると信じられてきました。また、生命の躍動を表す色ともされています。
特に、全国に広がる「お稲荷さん(稲荷神社)」の鳥居が朱色であることが多く、これは五穀豊穣の願いも込められています。
Q. 赤くない鳥居もありますが?

A. はい、素材によって様々です。 鳥居はもともと、樹皮を剥いただけの白木(しらき)で作られていました。 現在でも、伊勢神宮(三重県)のような格式の高い神社では白木の鳥居が使われていますし、石で造られた「石鳥居」や、青銅製の鳥居も存在します。

4. 代表的な鳥居の種類
鳥居には非常に多くの種類がありますが、大きく以下の2つの系統に分けられます。
1. 神明(しんめい)系

- 特徴: 全体的に直線的で、シンプル・素朴なデザイン。
- 代表: 伊勢神宮(三重県)、靖国神社(東京都)
- 一番上の横木(笠木)がまっすぐで、柱も地面に対して垂直に立っています。
2. 明神(みょうじん)系

- 特徴: 反りがあり、装飾的で華やかなデザイン。
- 代表: 多くの稲荷神社、八幡宮(例:伏見稲荷大社、宇佐神宮)
- 一番上の横木(笠木)の両端が反り上がっているのが特徴です。私たちが一般的に「鳥居」としてイメージするのは、この明神系が多いです。
5. まとめ
鳥居は、私たちが神様の世界へ足を踏み入れるための、神聖な第一歩です。

- 意味: 聖域と俗世を分ける「門(結界)」。
- くぐり方: 入る前に一礼、真ん中(正中)を避け、出る時も一礼。
- 赤色の意味: 魔除けと生命力の象徴。
次回神社を訪れる際は、鳥居の前で少し立ち止まり、その意味を感じながら心を整えてからくぐってみてください。