浅草といえば「雷門」や「浅草寺」を思い浮かべる方が多いですが、そのすぐ隣に、浅草の歴史そのものとも言える「浅草神社(あさくさじんじゃ)」が鎮座していることをご存知でしょうか?
地元の方からは親しみを込めて「三社様(さんじゃさま)」と呼ばれ、あの熱気あふれる「三社祭」の舞台としても有名です。実はここ、重要文化財である社殿の美しさや、強力な「心願成就(願い事が叶う)」のパワースポットとして、知る人ぞ知る名社なのです。
今回は、浅草神社の深い由緒から、境内の隠れた見どころ、気になる御朱印情報まで、現地を訪れる前に知っておきたい情報を徹底ガイドします。
浅草神社とは?まず知りたい基本情報
浅草寺本堂のすぐ右隣に位置する浅草神社。まずは参拝前に押さえておきたい基本情報をまとめました。
| 【項目】 | 【神社情報】 |
| 正式名称 | 浅草神社(あさくさじんじゃ) |
| 通称 | 三社様(さんじゃさま) |
| 所在地 | 東京都台東区浅草2-3-1 |
| 御祭神 | 土師真中知命(はじのまつちのみこと) 檜前浜成命(ひのくまのはまなりのみこと) 檜前竹成命(ひのくまのたけなりのみこと) |
| 特に有名なご利益 | 心願成就・商売繁盛・家内安全・縁結び |
| 創建 | 推古天皇36年(628年)起源、明治元年(1868年)社名改称 |
| 参拝時間 | 境内自由(24時間参拝可能) |
| 授与所時間 | 9:00~16:30(御朱印・お守り等) |
| 公式サイト | https://www.asakusajinja.jp/ |
浅草神社の最強のご利益と御祭神
浅草寺のご本尊(観音様)とは異なり、浅草神社には「実在した3人の人物」が神様として祀られています。
主祭神:浅草の創始者たち(三社様)
御祭神は以下の3柱です。
- 土師真中知命(はじのまつちのみこと):知識人・僧侶
- 檜前浜成命(ひのくまのはまなりのみこと):漁師(兄)
- 檜前竹成命(ひのくまのたけなりのみこと):漁師(弟)
なぜ「心願成就」に強いのか?
この3人の神様は、浅草寺のご本尊である「聖観世音菩薩」を隅田川から引き上げ、お祀りし、浅草の発展に尽くした「郷土の功労者(人間)」です。
元々私たちと同じ人間であったことから、庶民の願いや苦しみを最も身近に理解してくださる神様として信仰を集めています。そのため、漠然とした祈りよりも、「どうしてもこれを叶えたい!」という強い願い(心願成就)に対して、力強い後押しをしてくれると言われています。
歴史と由緒(わかりやすく解説)
浅草神社の歴史は、浅草寺と切っても切り離せません。
伝説によると、飛鳥時代(628年)、檜前兄弟が隅田川で漁をしていたところ、網に人形の像がかかりました。これを土師真中知に見せたところ、「聖観世音菩薩」であることが判明。これを祀ったのが浅草寺の始まりです。
その後、この3人の功績を称えて神として祀ったのが浅草神社の始まりです。明治時代の「神仏分離令」によって浅草寺とは別の法人になりましたが、今でも「観音様(仏)」と「三社様(神)」は親子のような深い関係にあります。
ここだけは外せない!浅草神社の境内の見どころ
境内はそれほど広くありませんが、見逃せないスポットが凝縮されています。
1. 徳川家光が寄進した「重要文化財の社殿」
現在の社殿は、慶安2年(1649年)に徳川家光公により寄進されたもの。度重なる火災や関東大震災、東京大空襲の被害を奇跡的に免れ、当時の姿をそのまま残しています。 鮮やかな朱色と精緻な彫刻が施された「権現造(ごんげんづくり)」は圧巻。ぜひ近づいて、極彩色の霊獣たちの彫刻を見上げてみてください。
2. 恋愛運アップ!寄り添う「夫婦狛犬(めおとこまいぬ)」
鳥居をくぐって右手奥にあるのが「夫婦狛犬」です。通常の狛犬とは異なり、2体が寄り添うように並び、その上には「相合傘」がかかっています。 「良縁」「恋愛成就」「夫婦和合」のご利益があるとされ、若い女性やカップルに人気の隠れたフォトスポット&パワースポットです。
3. こち亀ファン必見!「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の石碑
実は浅草神社は、人気漫画『こち亀』の主人公・両津勘吉と縁が深い場所。少年時代の両さんがタイムカプセルを埋めた場所として描かれており、境内には記念碑が建てられています。ファンならずとも、下町情緒を感じられるスポットです。
浅草神社の摂社・末社
出世・仕事運なら「被官稲荷神社(ひかんいなりじんじゃ)」
社殿の右奥に進むと、ひっそりと佇むお稲荷さんがあります。 江戸時代後期、新門辰五郎という人物が、重病の妻の回復を祈願したところ全快し、その後彼が出世を極めたという逸話から「被官(立身出世)」の名が付きました。就職活動や昇進を目指す方には必ずお参りしていただきたい場所です。
浅草神社の御朱印・お守り・授与品
御朱印のデザインと受付時間
- 受付場所: 社務所
- 受付時間: 9:00~16:30
浅草神社の御朱印は、中央に「浅草神社」の墨書きと社紋(三網紋)の朱印が押された力強いデザインです。 また、お正月、三社祭、夏詣(なつもうで)などの季節行事に合わせて、特別御朱印(切り絵や限定色など)が頒布されることも多く、コレクター心をくすぐります。
人気のお守り
- 大丈夫守(だいじょうぶまもり): 「どんな時でも神様が見守ってくださるから大丈夫」という意味が込められた、黒地に力強い文字のお守り。不安な時、背中を押してくれます。
- 巫水引守(みこみずひきまもり): 毎月デザインが変わる、水引で作られたブレスレット型のお守り。「縁を結ぶ」という意味があり、女性に大人気です。
浅草神社へのアクセスと駐車場
電車・バスでのアクセス
浅草寺を目指して来れば迷うことはありませんが、浅草寺本堂に向かって「右側」にあることを覚えておきましょう。
- 東京メトロ銀座線「浅草駅」から徒歩7分
- 都営地下鉄浅草線「浅草駅」から徒歩7分
- 東武スカイツリーライン「浅草駅」から徒歩7分
- つくばエクスプレス「浅草駅」から徒歩10分
車でのアクセス・駐車場情報
浅草神社専用の一般参拝者用駐車場はありません。 浅草寺周辺は一方通行や歩行者専用道路が多く、土日は極度の渋滞が発生します。基本的には公共交通機関の利用を強く推奨します。 どうしても車の場合は、「雷門地下駐車場」などの近隣コインパーキングを利用することになりますが、満車のリスクが高いです。
地図
浅草神社 所在地:東京都台東区浅草2-3-1
浅草神社参拝のあとに!周辺のおすすめスポット
ランチ・カフェ:浅草らしいレトロなひとときを
- 浅草 花月堂: 参拝後の食べ歩きに最適。「ジャンボめろんぱん」は外はカリカリ、中はふわふわで絶品です。
- 浅草浪花家: たい焼きの名店ですが、夏はかき氷も人気。参拝の疲れを甘味で癒やしましょう。
合わせて巡りたい観光地
- 浅草寺: 言わずと知れた観光名所。浅草神社とセットで参拝するのがマナーとも言えます。
- ホッピー通り: お酒好きな方は、参拝後にこちらで下町の賑わいを感じながら一杯楽しむのも「粋」です。
まとめ:浅草神社で「心願成就」を授かり、運気を上げよう
多くの観光客で賑わう浅草寺の隣で、静かに、しかし力強く浅草の街を見守り続けている「浅草神社」。 3人の一般人が神様となった珍しい由緒は、私たちの願いに寄り添ってくれる優しさを感じさせます。
重要文化財の社殿を眺め、夫婦狛犬に良縁を願い、被官稲荷で仕事運を上げる。浅草観光の際は、ぜひ浅草寺だけでなく、この「三社様」にも足を運び、強力なご利益を授かってください。
浅草神社に関するよくある質問(FAQ)
(Q) 浅草寺と浅草神社の違いは何ですか?
(A) お寺か神社か、そして祀っている対象が異なります。 浅草寺は「仏教のお寺」で聖観世音菩薩(仏様)を祀っています。浅草神社は「神道の神社」で、浅草寺を創建に関わった3人の功労者(神様)を祀っています。元々は一緒でしたが、明治時代に分離されました。両方参拝しても全く問題ありません。
(Q) 参拝の所要時間はどれくらいですか?
(A) おおよそ15分〜30分程度です。 境内はコンパクトですが、社殿の彫刻をじっくり見たり、被官稲荷神社まで足を運んだり、御朱印をいただいたりすると30分ほど見ておくと安心です。
(Q) 有名な「三社祭」はいつ行われますか?
(A) 毎年5月の第3金・土・日曜日に行われます。 3日間で約150万人以上が訪れる東京最大級のお祭りです。この期間は周辺が大変混雑し、交通規制も敷かれるため、静かに参拝したい場合はこの時期を避けるのが無難です。
浅草神社フォトギャラリー
歴史の重みを感じる社殿と、下町の空気が交差する特別な空間 。
